虹いろ探偵団50 新たな依頼

新たな依頼

今年の冬は暖冬になるだろうとの予測がささやかれているが、さずがに朝夕の冷えこみは日に日に厳しくなってきている。

メリルとマリアとジョージがやって来た。三人揃っての来訪は約一年ぶりだ。我が虹いろ探偵団も、今日はローリーも交え、全員が顔を揃えて待っていた。

「こんにちわ、ご無沙汰をしておりました。こうして再び虹いろ探偵団の皆さんにお会いできるなんて光栄です」

と、メリルが笑顔で挨拶をした。

「その節は大変お世話になりました。今日はローリーさんもいらっしゃるんですね。あえて嬉しいです」

と、ジョージが言った。

僕もです、とローリーはジョージに再会の握手を求めた。勿論、笑顔でジョージもそれに応じた。

「またリンダやキッシュに会えて嬉しいわ。今年の夏、無事にエイドが30歳を迎えたの。その報告が出来るなんて、私の祈りが叶ったのね」

と、マリアが満面の笑みで言った。

「取りあえず、みんな掛けてちょうだい。美味しい珈琲を淹れるわ」

と、言って私はキッチンに立った。

こうしてこの懐かしい面々に珈琲を淹れる日が再び訪れたことに、私は素直に喜びを感じた。

さあ、どうぞ、と私は淹れたての珈琲とほんのりとチョコの風味がする焼き菓子を振舞った。

メリルもマリアもジョージも黒猫もローリーも皆、嬉しそうだった。一年前のあの数か月がそれほどまでに私たちの心を強く結びつけていたのだと、今更のように感じずにはいられなかった。

「エイドが無事に30歳をむかえられて良かったわね。おめでとう」

と、私はあらためてメリルとジョージ、そしてマリアに言った。

「有り難うございます。今年の春からはエイドも希望通りの就職をし、おかげ様で今も元気に頑張っています」

と、メリルが言った。

「だけど、油断は出来ないの。うちの長男が越えることが出来ない30代はまだ始まったばかりよ。引き続き、気を引き締めて家族の団結が必要なの」

と、マリアが言った。

「まあ、心強いことね、マリアがいると」

と、私が笑った。

「あっ、そうだ、ママから聞いたんだけど、ロイとジミーのこと」

と、マリアが言った。

「そうなのよ、あくまでも私の仮説だけれど」

と、私が言った。

「でも、リンダの仮説は間違っていないと思うわ。じゃなきゃ、ロイとトムが真っ黒い姿で現れて、ハリスとジミーが白い姿で現れた意味がわからないもの。ママもジョージパパも同じ意見よ」

と、マリアが言った。

「私、昔本で読んだことがあるんです。人は死ぬと死の世界に行ってまた生まれ変わるけれど、自殺をした人はその場所に止まるらしいのです。何処にも行けなくて動けなくて、生まれ変わることが出来ないそうなんです。私、ふとその事を思い出したんです。だから、ロイもトムも死んだ部屋に止まっていたんだって」

と、メリルが言った。

「そうなのよ、だからキッシュがいなかったら、ロイもトムもあの部屋から出ることは出来ないままだったってことなのよ。キッシュは命の恩人ね、ロイとトムにとって」

と、マリアが言った。

「命の恩人ったって、相手は既に死んでるんだから、妙な話だけど」

と、黒猫が言った。

「それで、ロイやジミーの件はもとより、虹いろ探偵団の皆さんに改めて依頼したいのです。弟ハリスが事故死だという裏付けを見つけてほしいのです」

と、メリルは言った。

私は、黒猫とローリーを見た。二人の瞳に活き活きと力が漲っているのを私は確かめた。

「その案件、承りました。我が虹いろ探偵団、全力で調査させていただきます」

と、私は言った。ローリーが敬礼のしぐさで応じた。

「やったーっ!」

と、マリアが飛び上がった。

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