ピンポーン、玄関のチャイムが鳴る。モニターには顔なじみの配達員さん。
「何か買い物したかしら?」と呟き、庭先の芽吹きの青臭さを鼻に感じながら階段を駆け下りる。
「お間違いないですか」と、差し出された小包の送り主は沖縄に魅せられた娘から。
小包を開ける前にステレオをオンにする。
今の気分は、しゃがれたブルース。
スピーカーから流れるのは、唯一無二の存在感と個性を発揮しながら、若くして逝った俳優のベストセレクト。
男性にしては少し高めのしゃがれたヴォイスがやけに体の芯に響く。
そういえば、この俳優の息子たちも映画やテレビで見ない日はないな、と思いながら、天国でお父さんは、息子たちの活躍を誇らしく感じているんだろうか、などと想像を巡らせる。
さて、準備はOK!
ソファーに腰掛け、小包をオープン。
夕焼けに赤く染まった私と旦那様が仲睦まじくピースサインをしている写真が天板にプリントされた壁掛け時計。
三年前に娘と三人で淡路島を自転車で一周旅行した時の写真だ。
五月が私の誕生日と、結婚記念日であることを覚えていてくれたんだ、と嬉しく感じながら、粋なプレゼントにニンマリ笑顔がこぼれる。
早速、単三電池をはめこむと、秒針が息をふきかえし、新たな時を刻み始めた。
娘はもうマンゴー農園の仕事に出ただろうと思い、取りあえずLINEにお礼のメッセージをおくる。
「今日よりまた、さらに、さらにかけがえのない時間を夫婦で刻んで参ります。
本当に有難う」
さあ、新鮮な気持ちで今日も出発!
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